■国際協力へのとりくみ

近年、経済成長による生活習慣や社会環境の急激な変化にともなって、とくにアジア諸国では急速に糖尿病患者さんの数が増加しています。糖尿病の発見の遅れにより、失明、腎不全、足壊疽などの進行した合併症例もまれではありません。2006年には、国連で“糖尿病に関する国連決議”が採択されました。しかしながら、個々の国の対応は様々で、実態調査にもとづいて十分に分析し、対策を具体的に確立できている国は少ない状況です。
私たちは、国際医療協力研究委託事業の一環として、対象国と協力して、アジアでの糖尿病対策に役立つ情報の構築を目指しています。私たちは、そのために当センター内外の研究部門と協力して、各国の実態把握、環境や遺伝といった要因分析、予防活動や人材育成などに関する検討を行っています。特に、私たちの施設では、ベトナムの基幹病院であるバクマイ病院や栄養研究所との密接な関係のもとに、ベトナムにおける調査、研究を積極的に行っています。
私たちの研究は、糖尿病の予防や治療に対する各種プログラムの立案や実施に役立つだけでなく、より効果的で効率的な国際医療協力の施策立案につながることが期待され、わが国における糖尿病予防のための戦略研究にも寄与すると考えています。






■J-DOIT3へのとりくみ

当院は厚生労働省のすすめる「糖尿病予防のための戦略研究」のひとつ「糖尿病合併症を抑制するための介入試験(J-DOIT3: 研究リーダー 東京大学大学院医学研究科糖尿病代謝内科 門脇孝教授、プロジェクト推進部長 野田光彦 国立国際医療センター戸山病院糖尿病・代謝症候群診療部部長)」に参加しています。登録してくださった2型糖尿病の方々の治療に医師、看護師、管理栄養士、臨床研究コーディネーターからなるチームが一丸となって取り組んでいます。この研究は、現在日本糖尿病学会が推奨する治療(従来療法)とそれよりもより低い血糖値、より低い血圧の値、より低いLDL(悪玉)コレステロールの値を目標にする治療(強化療法)との優劣を検討する研究です。われわれは、J-DOIT3に参加することで、これまでともすれば難しいと思いかねなかった治療目標値が「J-DOIT3メソッド」をもってすれば達成可能であることを実感し、この研究に参加する事で得た経験を日頃の診療にも生かしています。


当院で2008年までにJ-DOIT3に参加された強化療法群23人、従来療法群24人の方々のデータです。


■糖尿病情報センターへのとりくみ

食生活や運動習慣などの生活習慣の変化や、高齢化に伴い、糖尿病になる方が増え続けています。糖尿病の予防に、治療に、多くの人と組織が糖尿病についての正しい知識を共有し、協力しあうことが望まれます。
国立国際医療センターは国立循環器病センター、独立行政法人国立健康・栄養研究所、国立保健医療科学院、小児期からの対策をになう国立成育医療センターとともに、国としての糖尿病等の生活習慣病対策を担う機関に指定されました。これを受けて、国立国際医療センター内に平成20年10月1日付けで糖尿病情報センターが設置されています。私たちは、糖尿病情報センターのスタッフとして、1)糖尿病に関する情報を収集、分析し、順次発信する、 2)糖尿病に関わるメディカルスタッフに対する研修会を企画し、開催する、などの活動を行っています。